ITが地球環境に及ぼす影響

今年に入ってにわかにグリーンITという言葉が注目されています。地球温暖化対策の“よりどころ”となっている京都議定書で設定した目標通り、温室効果ガスの排出量は減っているのかというと、実は多くの産業分野で増えています。

その中でも増加率が突出しているのが、ITなどをフル活用しているオフィス分野で、1990年に対して2005年の温室効果ガスの排出量は44.6%も伸びているのです。この間にインターネットや携帯電話が普及したことや、パソコン、サーバーの台数増加など、その原因は簡単にいくらでも挙げることができます。

こうした状況を受け、政府やITベンダーがIT機器の消費電力削減を目指す「グリーンITプロジェクト」を発足させ、様々な施策を打ち出しています。、水冷技術を利用した超効率CPU冷却システム、排熱の効率的回収・再利用システムの開発や大量データのアクセス頻度に応じて低速・省エネ型のハードディスクに移管・集約、重複データの圧縮などのデータ管理の効率化などでハードディスク台数の大幅削減、その他、ネットワークや半導体・デバイス分野での取り組みも挙っています。

果たしてこれらが近い将来どの程度の効果を生むのか分かりませんが、ちょっと視点を変えてみてはどうでしょうか。

ITの不の影響に対処する「後ろ向き」の面を取り上げるのではなく、「前向き」の面、つまりITは地球温暖化対策に多大な貢献をしており、今後は更にその期待が高まるという視点で考えてみてはどうでしょうか。

それは、ITを利用することで産業構造を変革し、資源エネルギーを効率よく活用する仕組みを作る(環境効率を高める)アプローチです。例えば、遠隔ビデオ会議システムやSCM(サプライチェーン・マネジメント)の活用で、人やモノの移動を効率化したり、工場の生産性向上やビル等のエネルギー管理の高度化、家電・自動車・産業機器のエネルギー効率の向上などへのIT活用です。

ITを利用することで環境負荷の低いビジネスモデルを構築し、資源効率を高めることは単なるコストダウンだけでなく、企業競争力を高めるなど企業価値の向上にもつながります。しかし、IT活用によるハードウェア全体の総消費電力とのトレードオフを考慮しなければなりませんが、総務省の報告書によれば、ITによるCO2排出と、その活用によるCO2削減のバランスはすでにプラス効果を生んでいるとのことです。その対象システムとして、高度交通システム(ITS)、物流・配送システム、サプライチェーンマネジメント(SCM)、オンラインショッピングなど11システムを挙げています。

これからの企業は、IT投資にあたって、売上・利益の拡大や業務の効率化だけでなく、環境に与える影響をプラス面、マイナス面を含めて検討していく必要があり、企業が抱える経営上の課題と環境面の問題を同時に解決する発想が求められるのではないでしょうか。環境に対して「前向き」な意味でITの活用に取り組む時代がもう来ています。

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